「カクテルコンペティションでの気付きとは」 | キャプテンズ・バー|オーセントホテル小樽【公式】メインバー
「カクテルコンペティションでの気付きとは」
2019.11.01

「野田君、今、貴方に作るカクテルが一番美味しいのです!そう思って言える仕事をなさい。」その言葉に幾度も励まされた。
幸いなことにオーセントのバーテンダーは日本のカクテルコンペティション(競技会)に優勝、それに準ずる評価をこれまで戴いてきました。
その理由を方々から問われる度に、私は「日本一のお客様が小樽にいらっしゃるからです。」と、そう説明します。
嬉しい事に、お客様が各地のバーに行った際、会話の中で「オーセントで飲んでいる!」と話すと、店側がとても良くしてくれたと伺います。
私にとってのカクテルコンペティションは、過去、あらゆる競技会に挑戦するも当初は最下位ばかりでした。
ターニングポイントとなったのは勿論キャプテンズバーのお客様なのです。
入社直ぐにチーフバーテンダーとして店を仕切らせて頂くなか、小樽のお客様は若く経験のない私(ホテルバー)を応援して下さいました。
中には、銀座や北新地など一流と謂われる名店(味)を知るお客様を連れられて、一杯に対する矜持を説いてくださいました。

未熟ゆえ、叱責を受ける事も少なくなかったが、振り返るとその全てが体の一部となっていくのですね。
或る、お客様は「小樽に来る友人に紹介するのに、日本一のバーテンダーになってくれなくては駄目だ!」と。  
忘れられない出来事として、一日足りとも欠かさない客が病に伏せられた時「最後に野田のマティーニを飲ませてくれ」と懇願された。
悲しみ堪えてお作りするのですが、涙が一滴グラスに落ちる。「すみません。作り直します…」と 差し替えようとするも 
「いや、これでいいんだ。」と一口だけゆっくりと喉を通してくれた…。何ていうか穏やかなその表情は、今もホテルの味として刻まれているのです。
前置きが長くなってしまいました。私にとっての師匠、それはお客様です。
今が一番に美味しいと思って貰う一杯を日々、目指さなくては、その道は私のように困難で険しい。
時代が変わっても変わらないものを。見えないものへ大切にする素養が、こういう世界(コンペ)では求められているのかもしれません。
お読みいただいてありがとうございます。今夜もおいしいお酒を飲んでくださいね。